砂栽培の特長About Sand culture

砂栽培農業の歴史History

砂栽培の小松菜

出典:『農業と食料の仕組み』日本実業出版社より

今から40年ほど前に、城野宏さんという農業戦略研究家が大手企業の協力を得て、鹿児島県串木野市のシラス土で、ハウスの中に「砂漠」のような状態を作り、堆肥などを一切やらずに野菜を育ててみた。

ビニールシートを敷いた上にシラスやグアムから運んだ白砂を5センチ、7センチ、10センチ、20センチの厚さに敷き詰めて種を播いた。そこで野菜が育つなら、砂漠でも同じように育つ事が証明される。
肥料は、窒素・リン・カリウムの混合液体のみで、普通よりもかなり少なく与えた。水はチューブで1日3回。これも分量は根元がちょっと湿る程度。但し、地温は温めた。地温が高くないと発芽はしない。
結果は、野菜が良くできた。マスクメロンも普通と同じように出来た。スイカやメロンも甘いし、しかも大きい。そこから城野さんが引き出した結論は、「肥料は普通の10分の1、水は100分の1、1000分の1でもよい。そのほうがかえって味もよくなる」というものだった。

その後、九州大学の福島栄二教授が「砂栽培」の研究をした。
窒素・リン・カリウムの化学肥料の液肥だけで果物が出来るか研究していた。その頃、熊本県天草で、永田照喜治さんが岩山でみかん作りをしていた。平地の肥えた土地よりも、岩山で作ったみかんの方が甘くて美味しい。10年以上に渡るゴロゴロの石畑でのみかん作りの実験で、永田さんは自信を持った(永田農法/緑健農法)。
福島教授は、永田さんに砂栽培の実験を依頼した。10年間の実験結果は上々。その後、鹿児島県吹上砂丘でスプリンクラーをつけ、コントロール室から管理するといった実験を開始した。これが成功すると、大手の電気メーカー、化学会社、不動産会社が提携し、砂栽培の施設の普及を開始した。

砂栽培のメリットMerit

高床式砂栽培

連作障害が起こりにくい

砂は土と違い元々養分を含んでおらず、色々な粒子サイズの石ころ(顕微鏡で見ると)集合体です。土は粘土質で密閉度が高いのですが、砂は隙間が構成されていますので、通気性もあり植物栽培に最適な保水・保肥力を有し、根圏環境に優れています。 また、土には元々多大な養分が含まれていますので、バクテリア発生量が多く連作の妨げになるのですが、砂は栽培時に必要最低限の肥料養分しか与えませんので、残留養分が土に比べ極めて少なく、連作障害発生が少ないのです。 連作障害が全く無い訳ではありませんが、年に1度程度水で砂を洗えば(ベッドに敷設されたままの砂培地に、上から水シャワーで米とぎする様に軽く洗います)残留養分がリセットされ連作障害を起こしません。この辺が露地栽培より優れています。

体に負担が少ない軽作業

培地を腰高に設定しているので、屈んだり腰を曲げたりする事が殆んどありません。 また、露地栽培では農機具を使い土作りする重労働がありますが、高床式砂栽培は敷設された砂を床に対し、入れ替えや土作りのように手を入れる必要がありません。 農機具を全く使わず、体に負担が少ない軽作業のみで出来る農法です。栽培方法も簡単なので、農業知識に乏しい方でも素人、高齢者や障がい者の方々でも作業可能です。 砂は土と違い汚れませんので、農業3Kと言われる「きつい、きたない、きけん」の無い農法です。

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高床式砂栽培について

当協会の連携先である株式会社グリーンファーム(大阪府四條畷市)では、栽培アスパラ、トマト、ほうれん草、小松菜、ニンニク、朝鮮人参、青梗菜などの砂栽培の実績があります。2012年7月にはグリーンファームが設立した障害者就労支援事業所「私の太陽農園」(大阪府四条畷市)で高床式砂栽培を採用しているほか、介護付有料老人ホーム「グレースメイト松戸」(千葉県松戸市)にも室内用砂栽培設備を導入し、障害者や高齢者でも栽培しやすい農法として普及を進めています。

「私の太陽農園」施設建物

「私の太陽農園」施設建物

「私の太陽農園」ハウス内部

「私の太陽農園」ハウス内部

栽培ベッド(砂栽培床)

栽培ベッド(砂栽培床)
(下田原農場:大阪府四條畷市下田原1345)

砂栽培作業風景

栽培作業風景
(下田原農場:大阪府四條畷市下田原1345)

写真提供:株式会社グリーンファーム

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